注文住宅の床材の選び方

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注文住宅を建てる場合、間取りや設備に加えて"床材"も選ぶことができます。種類や特徴を踏まえながら、機能性もマッチしたお気に入りの床材を選ぶのが理想的。しかし、自由度の高さから「床材ってどう選んだらいいの?」と悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、床材の重要性や種類、場所に合わせた選び方など解説します。

1.床材が住まいの機能と印象を大きく変える

床材は注文住宅を建てるとき以外、あまり意識されることがありません。しかし、床は建物に占める面積の割合が多いうえ、床材によって空間の印象も大きく変わるため、非常に重要なポイントです。
床材ごとに機能性や快適性もかなり異なっていて、居心地のよさを左右するといっても過言ではありません。好み・ライフスタイル・予算なども意識しながら、自分や家族にとってお気に入りとなる床材を選びましょう。

2.床材の種類

床材を選ぶ場合、まずは種類と特徴を押さえることが大切です。

2-1.複合(合板)フローリング

合板に薄い木板や木目調のシートを貼り付けたものであり、木のフローリングでは最も馴染みがある床材です。丈夫かつ掃除やメンテナンスもしやすいため、多くの住宅で採用されています。
複合(合板)フローリングは以下の3種類に分類されるので、こちらも把握しておきましょう。

①シートフローリング
表面材に木目調のシート(オレフィン製・樹脂製など)を使用。経年変化や風合いは楽しめない。
②突き板フローリング
表面材に本物の薄い木板(0.2~0.6mm程度)を使用。①より木の風合いがあり、機能性とコストのバランスがいい。
③挽き板フローリング
表面材に本物の厚い木板(2mm程度)を使用。無垢フローリングに近い質感を実現。

一般的に①~③の順にコストが高くなるので、予算を踏まえて検討しましょう。

2-2.単層(無垢)フローリング

一本の自然の木(無垢材)から板を切り出して、それを加工した床材です。混じりけのない天然木材から作られているので、木が本来持っている質感や温もりを感じたり、経年変化を楽しんだりすることができます。さらに、単層(無垢)フローリングは熱伝導率が低いため、素足で触れてもひやっとしにくいこともメリットです。
一方、定期的にメンテナンスしないと変形や汚れが起こりやすい、複合(合板)フローリングに比べてコストが高いといったデメリットもあります。ただ、手間やコストを踏まえても、天然木材ならではのメリットは魅力的です。

2-3.タイル

タイルは陶器から作られた床材であり、1枚ずつ並べて設置します。硬くて水に強いため、リビングより玄関や土間に用いられることが多い床材です。デザイン性に優れているので、近年はキッチンの床やお手洗い、洗面室など水回りにも使われるケースが増えています。
足に対する負担が大きい、ひんやりしやすいといったデメリットもあるため、場所を選んで用いることが大切です。

2-4.畳

畳はい草を編んで作られた日本古来の床材です。木材や石材に比べると弾力性が高く、座ったり横になったりしても身体が痛くなりにくいので、のんびり過ごしたいときに役立ちます。また、い草特有の香りによるリラックス効果、快適な空間を作り出す調湿効果も畳ならではのメリットです。
その一方、カビやダニが発生しやすい、毛羽立ちが起こりやすいといったデメリットもあります。メンテナンスも欠かせないので、その辺りを踏まえて検討しましょう。

2-5.カーペット

カーペットはふかふかとした感触を持つ、ソフトな床材です。クッション性と遮音性が高いので、高齢の方や小さなお子さまがいる家庭に向いています。また、保温性に優れているため、冬の時期でも足元が冷たくなりません。
デメリットとしては、水や食べ物をこぼしたときの掃除が大変なこと、経年劣化しやすいことが挙げられます。

2-6.クッションフロア

クッションフロアはビニール素材で作られた床材です。防水性が高いので、水などをこぼしても簡単に拭き取れます。また、クッション性が高く怪我をしにくい、コストパフォーマンスに優れているといったメリットも見逃せません。
一方、安価で取り入れやすいものの見た目の高級感に乏しい、凹みや変色が起こりやすいといったデメリットもあります。ただし、近年は木目調やコルク風など、見た目が改善された製品も登場しているため、メリットを活かしてうまく取り入れたいところです。

3.床材の選び方

次はどんな場所に・どういった目的で・どの床材を選ぶべきなのか、場所ごとにポイントを紹介します。

3-1.リビング

リビングはテーブルやソファなど重たい家具を置くことが多いため、凹みに強いフローリングがおすすめです。手間をかけても自然の風合いを楽しみたいなら無垢フローリング、機能性や耐久性を求めるとき、あるいは床暖房を使いたいときは合板フローリングが適しています。技術の進歩によって、近年は合板でも本物の木目と同じような質感や高級感のある製品が多いため、サンプルなどで実物を確認してから選びましょう。
また、リビングのフローリングでは色も重要となってきます。落ち着いた雰囲気にしたいならダークカラー、爽やかなイメージを望むならライトカラーが適していますが、最近はグレイッシュカラーも人気です。

3-2.キッチン

キッチンは水ハネや油ハネが起こりやすいため、汚れを拭き取りやすい合板フローリングもしくはクッションフロアがおすすめです。汚れの心配をせず家事に取り組めるようになるので、作業効率も上がるでしょう。
また、最近はデザイン重視でタイルを採用するケースも増えていますが、キッチンなら塩ビ製のフロアタイルが最適です。無地・磁器・木材・天然石などデザインが豊富であり、なおかつ防水性や耐久性も高いので、相性ぴったりといえます。

3-3.脱衣室、トイレ

脱衣室やトイレはどうしても水に濡れることが多いため、防水性に優れたクッションフロアがおすすめです。フローリングにしたい場合、合板フローリングにマットを敷くなど、水濡れ対策を施しましょう。
デザインにこだわるならタイルも一考ですが、最近は合板の上に水に強いシートを貼り付けて、フローリングやタイルのような質感に見せる床材もあります。

3-4.寝室

寝室はベッドの重さで凹みにくいフローリングのほか、カーペットで暖かさやリラックス感を演出するのもおすすめです。カーペットならスリッパで歩くときの足音なども軽減されるので、よく眠れる環境を作ることができます。

3-5.子ども部屋

子ども部屋はお子さんが動き回って傷がついたり、クレヨンなどの汚れが付着したりするため、合板フローリングあるいはクッションフロアがおすすめです。「足音を軽減したい」「小さい頃から本物の質感を大切にしたい」など重視するポイントを考慮しつつ、お子さんの年代や間取りに合わせて選択しましょう。お子さんの成長や家族構成の変化など将来性も踏まえておくと、最適な床材が見つかります。

3-6.玄関

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4.床材にこだわって美しく居心地のいい住まいを

床材と一口にいっても種類はさまざまであり、特徴もそれぞれ異なっています。美しく居心地のいい住まいを実現するためには、適材適所を意識しながら、見栄えと機能性を兼ね揃えた床材を選ぶことが大切です。

家の中の広い面積を占める床材。家づくりのご参考にされてみてください(^^)/